福岡市獣医師会は「いのちを尊重」「すこやかな心の育成」「人と動物のきずな」をモットーに活動しています

 
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その2 寄生虫による皮膚病

前回は、細菌やカビが原因となっておこる皮膚病についてお話しました。犬や猫は、人間と比べると、その生活環境は衛生的とはいえない事も多く、最も一般的に知られているノミやマダニが皮膚病の原因となるほか、これら以外にも皮膚に強い痒みを引き起こす寄生虫病があります。また、人間へも被害を及ぼす可能性もあるので、日頃からペットの生活環境に気を配ることも私たち人間の健康を守るためには大切です。
ノミによる皮膚病

  犬や猫の体の背中から腰の付近や下腹部に脱毛やプツプツとした赤い発疹が見られます。多数寄生の場合やノミに敏感な個体では、腰からお尻周りの脱毛や掻き壊しによる皮膚のびらんが見られます。ノミは被毛の奥に潜んで寄生しています。被毛をかき分けてよく観察すると動き回っているノミや黒い粉末状のノミの糞が見つかります。

  また、ノミに刺されなくとも、皮膚へ付着したノミの唾液や糞に対してアレルギー反応を起こし痒みの原因となる場合もあります。同居動物がいる場合や、お散歩で多くのワンちゃんと触れ合う可能性のある場合は、お互いの健康を守るためにもしっかりノミの予防をしてあげましょう。
治療法は、滴下・噴霧タイプ、もしくは内服によるノミの駆虫をすることが第一ですが、掻きむしって皮膚炎が生じた場合は、抗菌薬や消炎剤などの内服薬が必要となることもあります。
 
マダニによる皮膚病

  犬や猫の目のふちや耳のつけ根や頬、指の間などにアズキ大から大豆大の光沢のある虫がしっかりと皮膚にくいこむように付着していることがあります。吸血する前は針の先くらいの小さな虫ですが、吸血すると小豆くらいまで膨らみます。都会でも公園や道路沿いの植え込み、芝生などを通って感染することがあります。

  もし、皮膚にくいこんでいるマダニを見つけた場合は、無理に手でとろうとせず、病院へ連れて行ってください。無理やりとると皮膚の中にマダニの体の一部が残り、炎症を引き起こします。このほか、犬のバべシア(赤血球に寄生し、重度の貧血を起こす)や、人間へ感染するライム病の原因となる寄生虫を保有していることもあります。

寄生する前に、予防が大切です。現在、皮膚に滴下するスポットタイプのお薬での駆虫・予防が主流です。
 
疥癬(かいせん)

  皮膚にトンネルを作って寄生するヒゼンダニが原因です。耳のふちや顔、ひじ、かかとなどにかたく固まったごつごつしたカヒ(かさぶた)や小さな発疹が特徴的です。頭部に寄生することが多いですが、皮膚の柔らかい下腹部にのみ少数の発疹が見られる場合もあります。感染した犬や猫を抱いたり触ったりすると、人間にも腕や胸部、腹部などに激しいかゆみを伴う小さな赤い発疹ができます。

 治療は、ヒゼンダニを殺す駆虫薬を使用しますが、かきむしりの傷を治療するために抗菌剤や痒み止めを併用する場合もあります。再発の可能性があるので、ヒゼンダニが死滅して完全に治るまでは継続した治療が必要です。治療期間の目安は、おおよそ1カ月を要します。
 
耳ダニ(耳疥癬)

  チョコレート色の多量の耳垢と激しいかゆみが特徴です。耳垢にダニが寄生しているので、よく観察すると白い透明な1o程度の微細な虫を見つけることができるかもしれません。はげしい炎症を起こすので、かゆみで耳を掻いたり頭を振ったりします。しかし、耳ダニが寄生していても全く症状が現れないこともあります。

  治療法は、分泌される耳垢を取り除き殺ダニ剤を局所に投与します。皮膚へ滴下するスポットタイプの殺ダニ剤などもあります。いずれにせよ、徹底したお耳のお手入れと治療が必要です。
 
毛包虫症(アカラス)

  生後3〜11ヵ月の幼い時期に発症することが多いです。最初は口や下顎、目の周囲、前足の前面などの皮膚の毛が抜け始め、次第に脱毛の範囲が広がっていきます。この頃は、まだかゆみはないのが普通です。そのうち脱毛した部分にニキビのような膿疱がたくさんでき、それらが集まって広くびらん(ただれ)を起こすようになります。

  幼い時期に発症し、局所のみで病害がとどまる場合(局所性毛包虫症)と、全身に広がるタイプ(全身性毛包虫症)とに分けられますが、前者は再発の可能性が低く、自然治癒することもあります。一方後者は、毛包虫の駆除が難しく、長期間にわたっての治療が必要となります。そのため、局所性毛包虫症が全身性毛包虫症に移行しないように、小さな病変のうちから治療を開始することが肝要です。
治療法は、殺ダニ剤を使用したシャンプーや外用薬、内服薬を使っておこないます。治療には長時間を要するので、獣医師の治療計画に従って処置を続けることが大切です。

  毛包虫症の発病や進行は、年齢的な問題だけでなく、この皮膚病になりやすい犬種や皮膚免疫力の低下、食事なども関与していると言われています。
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