家庭の獣医学|No.21 犬の咳

一般的にクシャミというと、主に鼻の奥の異常でクシャミの症状が出ます。ではクシャミを起こす病気はどのような物があるか少し書いてみたいと思います。

ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)

ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)は、咳(空せき)や発熱など、人間の風邪と似たような症状が長く続く、伝染性の呼吸器感染症です。ケンネルコフは不衛生な飼育環境や体力・抵抗力の衰えなどが誘因となってウイルスや細菌に感染し発症します。とくに空気が乾燥する冬場は感染しやすいので注意が必要です。
ケンネルコフになると、咳や発熱などの症状が急に現れます。運動したり、興奮したりした時や気温・湿度の急な変化があった時に咳が多くなり、発作性の咳のためゲーゲーと吐くような様子がみられることがあります。ウイルスの単独感染では軽い症状の場合が多く、ほとんどは1週間~10日前後で回復します。

犬のフィラリア症(犬糸状虫症)

犬のフィラリア症(犬糸状虫症)は、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫の感染のよって起こる病気で、治療が遅れると心臓病の症状が現れるようになり、命にも関わることがあります。フィラリアは犬特有の病気のように思われますが、タヌキなどのイヌ科動物に加え、猫やフェレット、さらには人にも寄生することがあります。 寄生しているフィラリアの数や寄生期間、犬の体の大きさや健康状態によって様々です。感染初期や少数寄生の場合、ほとんど症状はみられません。
フィラリアが多数寄生している場合には、大動脈症候群(急性犬糸状虫症)と呼ばれる急性症状を起こすことがあります。この場合は、血尿や呼吸困難によって倒れこむ、といった症状が見られます。大動脈症候群は緊急治療が必要な状態であり、治療が遅れると、その死亡率はほぼ100%です。

犬の肺炎

肺炎は、細菌やウイルスなどの感染やアレルギーなど様々な原因によって起こります。主な症状として、咳や発熱、食欲や元気の低下、運動を嫌がる、呼吸困難といった症状が見られます。

犬の僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流症)

犬の僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流症)は、老犬期の小型犬に多くみられる心臓病で、犬の心臓病の約3分の2を占めています。発症すると、主に咳や呼吸困難などの症状が現れます。
僧帽弁閉鎖不全症は、どのような犬種にも起こりえますが、特に小型犬に多く、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、シーズーなどに多く見られます。加齢にともなって発症しやすい傾向にあり、早い場合には5~6歳で症状が現れることもあります。

僧帽弁(心臓のなかにあって、血液の逆流を防ぐ働きをする弁)の「粘液腫様変性」と呼ばれる変化がおもな原因と考えられています(僧帽弁閉鎖不全症は、こうした変性によって僧帽弁が肥厚し、弁がしっかり閉じなくなることで生じます)。

犬の肺水腫

肺水腫は、肺に水がたまった状態のことで、心臓病や肺炎など、ほかの病気が原因となって発症します。肺水腫になると、咳をする、ゼーゼーと呼吸が荒くなる(呼吸困難)などの呼吸症状が現れます。
  肺水腫は、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の障害が原因で起こる心臓性肺水腫と、それ以外の原因で起こる非心臓性肺水腫に分けられますが、犬の場合はほとんどが心臓性です。心臓性の場合、心臓の働きが悪くなることで、血液の流れがとどこおり、肺の中に血液成分が漏れ出すことで肺水腫が起こります。非心臓性肺水腫は、心臓以外の病気(肺炎や熱射病、感電事故、低たんぱく血症など)が原因で起こってきます。

犬の気管虚脱

気管虚脱は、呼吸にともなって気管が扁平に変形するため、息が荒くなりガチョウの鳴くような乾いた咳をし、ひどくなるパンティングや呼吸困難といった症状が現れる病気です。トイ犬種やミニチュア犬種に多く、中年齢~高年齢でおもに発症します。気管虚脱の症状は肥満により悪化しますが、これ以外に高温の環境、運動や興奮によっても悪化します。咳は興奮時や運動中、または散歩時の首輪による頚部の圧迫でひどくなります。気管虚脱が悪化すると、呼吸困難となり舌が紫色になるチアノーゼの症状が現れてくることもあります。