福岡市獣医師会は「いのちを尊重」「すこやかな心の育成」「人と動物のきずな」をモットーに活動しています

 
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 耳の病気はさまざまあり、耳介部分の脱毛や炎症などの病変を起こすもの、耳道内部に病変を起こすものやその両方に病変を起こすものがあります。また、全身の皮膚症状の一部として出現するものもあります。原因も細菌や寄生虫などの感染、免疫介在性疾患、ホルモン失調、遺伝性疾患、腫瘍など多岐にわたり、体質や食事が関与していることもあります。今回は、そのなかで最も頻繁にみられる外耳炎についてお話します。
 
外耳炎
 外耳炎は皮膚病のひとつで、耳を掻く・頭を振る・耳が匂う等の症状に気づき、耳を見てみると赤くなっていたり、耳垢や液体が溜まっていたりします。全身の皮膚疾患の病変の一部として見られる場合には気づきにくいこともあります。
 
1.原因 

  外耳炎は、もともと炎症を起こしやすい耳道内の環境(危険因子)があり、そこに何らかの原因が加わって発症します。 危険因子は耳道内の湿度の上昇です。耳道内の湿度が上昇すると耳道内上皮が炎症を起こし易くなったり、バリア機能が損なわれて感染を起こし易くなったりします。この危険因子には、耳道内の被毛の存在、垂れた耳介、狭い耳道、耳道内アポクリン腺(耳垢腺)の分泌過多などの先天的な要因や高温多湿の気候、耳道内に水が入るなどの環境要因があげられます。他にはホルモン失調(内分泌異常)も危険因子となります。

  直接的な原因には、寄生虫の感染、異物、腫瘍やアレルギー疾患(アトピー、食物アレルギー、接触アレルギー)、自己免疫疾患、角化異常症などの基礎疾患の存在があげられます。この中でもアレルギー疾患に関連して発生することが多いです。 また、犬では垂れ耳を持つダックスフント、耳道内の被毛を持つプードル、垂れ耳、耳道内被毛に先天的な角化異常症を持つアメリカンコッカスパニエルなどの他アトピー性皮膚炎を持つ柴犬、レトリバー、ウエストハイランドホワイトテリア、フレンチブルドッグなども好発犬種とされています。外出の多い猫や子猫では耳ダニ(耳疥癬)の感染がみられます。
 
2.症状

 耳の異常を訴えて病院を受診される方からよく聞かれるのは、耳をかゆがる、耳が赤い、耳垢が多い、耳が臭い、耳がただれているという症状です。これ以外にも頭をかゆがる、頭を床に擦りつける、頭をよく振るなどの症状もみられます。外耳炎がひどくなり中耳炎を併発した場合には、首をかしげる(斜頸)、まっすぐ歩けない(歩様異常)、顔面の左右不対称や動物の前から呼んでいるのに後ろを振り向くなどの聴覚障害がみられることもあります。
 
3.治療

 治療に先だって、外耳炎の原因や背景にある基礎疾患を調べるためのさまざまな検査が必要になる場合もあります。治療は耳道の洗浄や清拭を行った後、外用薬を点耳する方法が一般的です。ただし、重度の細菌感染、耳ダニや真菌の感染、中耳炎の併発などがある場合は注射や内服を併用する場合があります。さらに難治性の場合は耳道切開や切除などの外科的処置が必要ななるケースもあります。また、基礎疾患の治療も同時に行わなければ治りにくかったり、再発を繰り返したりすることもあります。特に慢性化した外耳炎は難治性で、長期にわたり治療を継続する必要がありますので、根気よく通院することが大切です。


 
4.日常の管理

 環境や体質にも因りますが、健全な耳道には黄白色の耳垢がうっすら付着するか、ほとんど耳垢は見られないのが普通で、頻繁に耳掃除が必要になることはありません。通常はシャンプー後に湿らせた綿花などでやさしく水分を拭き取る程度で良いと思われます。耳道内上皮はデリケートですので、シャンプーの際に耳の中を直接シャワーで洗ったり、綿棒で耳道内を強く擦ったりするような不適切な処置はやめましょう。また、耳道内に直接接触させるローションを使用する場合は、プロピレングリコールなどの成分で接触アレルギーを引き起こすケースもありますのでなるべく刺激の少ないものを選びましょう。
ときどき耳の中をのぞき、耳垢がたくさん溜まっていたり、赤くなっていた場合や頭を振ったり耳を掻いたりするしぐさが見られた場合は、外耳炎を起こしている可能性があり、耳掃除では治りません。そればかりか、耳掃除だけを続けていると炎症の慢性化により耳道上皮の過形成や真皮の線維化により耳道が狭くなり、アポクリン腺の拡張や過形成によりさらに耳垢が増え、細菌や酵母菌(マラセチア)の感染が重篤化し中耳炎のリスクを高めることになります。異常が見られたら早めに病院で診てもらいましょう。
 
5.最後に

 心配なことや分らないことがあれば、まずかかりつけの獣医師に相談してみましょう。その子に応じた適切なアドバイスがもらえると思います。そのためにもいつでも相談ができるかかりつけの動物病院をぜひつくっておいてください。福岡市獣医師会のホームページ(https://fukuoka-shiju.jp/)には会員の動物病院が紹介されていますのでご利用ください。
 
 
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