福岡市獣医師会は「いのちを尊重」「すこやかな心の育成」「人と動物のきずな」をモットーに活動しています

 
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嘔吐について

嘔吐とは口からの異内容物の激しい反射的な排出の事を言います。しばしば嘔吐の前に、元気が無い、震え、身を隠す、快適な場所を探す、よだれ、口唇を舐める、何度も飲み込もうとする、吐こうとするなどの症状が現れる場合があります。
嘔吐はその原因や進行具合により症状のあらわれ方も様々です。今回は「どのような嘔吐か?」という事をポイントに考えてみましょう。
 
1.嘔吐はいつからか

 嘔吐の発症が「急性なのか慢性なのか」は大事な点です。慢性的な経過をたどる場合は胃や腸を含めた消化管の炎症や腫瘍、胃の形態的異常、慢性腎不全による尿毒症、肝不全、ホルモン分泌の異常、慢性膵炎、アレルギー性疾患、自己免疫性疾患などが原因として挙げられます。また急性に起こる嘔吐の原因としては、急激なフードの変更、過食、胃腸での炎症、胃内異物や腸閉塞、腸重責、中毒物質の摂取、ある種の薬(抗生物質、抗炎症剤など)、胆管閉塞、尿路閉塞による尿毒症、神経疾患(前庭疾患、乗り物酔い、頭部外傷、中枢性)、急性膵炎などがあります。

 慢性的な嘔吐の頻度が最近になり増加し、体重減少も見られる様な場合は重大な疾患の可能性があります。一般的には短期間(7日間未満)の間に様々な頻度で起こる場合を急性嘔吐としています。今まで嘔吐をした事がなかったのに急激に嘔吐が始まり、その後も持続する様な場合は速やかに病院を受診する方が良いでしょう。
 
2.吐物の内容

 嘔吐による吐物には未消化の食べ物や液体(透明、出血、胆汁色など)、異物の一部や残飯、植物や人の薬、害虫駆除薬、消化管内寄生虫などが見られます。吐物をよく見てみることで嘔吐の原因が分かる場合もあります。また毒性の強いものは嘔吐や下痢の後に腎臓や肝臓への障害、痙攣(脳)といった全身症状を呈する事があるので早急な処置が必要となります。
 
3.嘔吐の回数

 数時間の内に何度も起こるような嘔吐はそれだけ激しい脱水や電解質異常を招きます。この場合も速やかに脱水や体液バランスの不均衡を是正する必要があります。
 
4.他の症状の有無

 嘔吐が他の症状、例えば元気・食欲の消失、下痢、腹部の痛み、発熱、腹囲膨満、痩せてくる、水をよく飲む、神経的な異常などを伴って起こることがあります。子宮蓄膿症では多飲多尿、急性膵炎や腸重積などでは激しい腹部の痛みを示すことが見られます。子犬や子猫でのウイルス感染による嘔吐の場合は、しばしば激しい下痢や発熱、元気・食欲の減退などを伴います。
 
5.基礎疾患(持病)の有無

現在治療中または経過観察中の持病が悪化した結果、嘔吐を引き起こしている場合があります。慢性腎不全・肝不全、糖尿病、腫瘍、副腎皮質機能低下症などが見られこの場合は持病の治療が必要となってきます。
 
6.本当に「嘔吐」なのか

 嘔吐のように見えても、食べ物や水が胃に送られず食道に留まっていて、その後「吐き気」を伴わず口から排出する「吐出」の場合があります。食道内異物による通過障害、巨大食道症、その他の嚥下障害などで起こります。また「吐きそうで吐けない」状態は胃捻転・拡張症候群や胃拡張などで見られる症状です。
 
以上のように嘔吐には様々な原因が考えられます。嘔吐が続けば脱水が起こり体液のバランスも崩れてしまいます。他の全身症状も伴っていればさらに衰弱は進行します。
 嘔吐がある場合は、まずはそれ以上は食物や水を与えず、胃を休めて症状が続くかを慎重に見てください。一過性の場合なら治まる事もありますが、重篤な疾患のサインである場合もあります。嘔吐が急激かつ頻回の場合、また他の症状を伴っている場合はできるだけ早急に動物病院を受診してください。動物病院では嘔吐の状態に合わせて必要な検査や治療を行っていきます。
 
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