福岡市獣医師会は「いのちを尊重」「すこやかな心の育成」「人と動物のきずな」をモットーに活動しています

 
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今回から3回にわたり、下痢・嘔吐についてお話いたします。
下痢について
 口から入った食べ物は食道を通って胃の中に送られます。その後胃から腸へと進んでいきますが、その間にいろんな消化液の影響を受けてドロドロに消化されます。体にとって必要な栄養素や水分は胃や腸の粘膜からどんどん吸収され、残りのカスが便として肛門から出てきます。あまりイメージがわかないかも知れませんが、口から飲んだ水の何倍もの水分が食べ物の消化のために消化液(唾液、胃液、胆汁、膵液および腸液など)として体の中で分泌されます。しかし体が正常であればこれらの水分は腸の粘膜から吸収され食べ物が肛門にたどり着くころには適度な水分の便に調整されて排出されます。

 下痢はこの食べ物の消化の仕組みに異常が発生し、便の中の水分が多くなって液状または半流動状になった状態のことを言います。

下痢がなぜ起こるのか?それは大きく分けて3つのパターンが考えられます。
下痢発生のメカニズム

1)消化液などの水分の分泌が多くなった場合。
病原性大腸菌などに感染した場合にその毒素によって腸管が刺激され、消化液の分泌量が増えます。そのため便に水分量が多くなり下痢となります。
 
2)腸管での水分吸収に問題がある場合。
牛乳や下剤など腸管で吸収できない物質を与えたことによって下痢となります。腸管粘膜の障害などにより腸管での吸収能力が低下し、吸収されない水分はそのまま便に排泄されるため下痢となります。

3)腸管の運動に異常が起こった場合。
食べ物が腸管を通過する時間が短くなると、消化に費やす時間が少なくなるためうまく消化されずに下痢となります。
また食べ物が腸管を通過する時間が長くなると、腸内の細菌のバランスが崩れ、異常発酵を起こし下痢となる場合があります。

これらの発生のパターンが複雑に影響しあって下痢が起こっています。ひとつの原因が2つ以上のパターンを共存させて起こっていることがほとんどです。

 
嘔吐について
嘔吐は脳の延髄にある嘔吐中枢(嘔吐の命令を出すところ)に刺激が加わると起こります。どのような場合にその嘔吐の命令が出されるかと言うと、大きく4つに分けられます。
嘔吐発生のメカニズム

1)胃や腸で異常が起こった場合。
胃や腸にはたくさんの神経があり、その神経に異常が伝えられると嘔吐が起こります。胃や腸に炎症が起きたり、食べ物以外の異物を食べたり、腫瘍などが出来てしまった場合に嘔吐が起こります。

2)有害な毒素が血液中に増えた場合。
中毒物質を食べてしまったり、細菌感染により有害な毒素が血液中に増えてしまったことにより嘔吐が起こります。また腎不全や肝不全によって体内にいろいろな毒素がたまってくると嘔吐が起こります。

3)内耳の半規管からの刺激があった場合。
乗り物酔いや前庭障害により嘔吐が起こります。今まで元気だった犬や猫が車に乗せて、または降りてからすぐに嘔吐した場合にはこのメカニズムによる嘔吐の可能性が高くなります。

4)精神的なストレス等が起こった場合。
一般的検査にて異常を認めず、他の原因が考えられない場合の嘔吐です。
ごくまれであり、犬や猫での診断は困難です。

これらの嘔吐のメカニズムの中で最も多く認められるのは、1)の胃や腸での異常によって起こる嘔吐です。食べ物は口から食道を通ってすぐに胃に入ります。そこでは食べ物を消化しやすくするため、胃酸の分泌と胃の動きによって食べ物がドロドロの状態に混ぜ合わされていきます。その後少しずつ十二指腸に送られていきます。しかし大量の食べ物が一度に胃の中に入ってきたり、何らかの原因で胃酸の分泌が過剰になったりするとそれが嘔吐中枢を刺激して嘔吐となります。嘔吐は胃と密接にかかわっています。

 
 
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